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最近では、BPRという言葉はすたれ、本来はBPRを実現するための一つの手段にほかならなかったはずのCALS(キャルス)やグループウェアなどの言葉が、ますます盛んに取り上げられるようになってきた。
CALSは、「生産・調達・運用支援統合情報システム」とか「光速電子商取引」などと訳される。
早い話、製品の開発・設計から、部材の調達、生産、流通、保守に至るすべての過程を、光速にたとえられるほどの超スピードで行うというのがCALSだ。
これを実現するためには、製造会社を中心に、部品メーカーや流通業者などの周囲の会社を巻き込んだ、巨大なコンピューターネットワークとデータベース(正確には共有データベース)という情報技術が不可欠となる。
コンピューターネットワークとは、パソコンを含めたすべてのコンピュータを回線でつないで、すべてのコンピュータを網の目のように結ぶことを意味する。
網の目の中心には、パソコンから人力されたあらゆる情報(=データ)を大量に蓄積するためのデータベースを備える。
データでベースとは、いってみれば巨大なデータの塊だ。
従来の書面によるやりとりでは文書の洪水が起こり、業務が滞ることが多かった。
そこで、書面によるやりとりを廃止し、すべてのやりとりを「電子化」して、中央のデータベースで一括管理しようというのがコンピューターネットワークであり、データベースだ。
グループウェアもまた、同じような概念だ。
一つの仕事を一人で行うのではなく、社内にコンピューターネットワークを構築することで、たくさんの人間が一致協力して生産性を高めるというのがグループウェアである。
CALS、クループウェア、どちらにも共通して言えることは、コンピューターネットワークとデータベースが必要であるということだ。
大企業がこぞってパソコンを大量導入し、社員一人一人に提供しているのは、実はこうした思惑があるからである。
社員一人一人にパソコンを導入してネットワークを構築する動きは、最近になって急速に増え続けている。
ここでは、先ほど触れたグループウェアというものが、実際にはどういうものなのか、その一例を紹介しよう。
電子部品メーカーに勤めるK子さん(二十四歳)は、顧客の相談窓口に携わる若手のOL。
K子さんの仕事は、一日に数百と寄せられる顧客からの質問に、電話やファックスで迅速に対処することにある。
だが、中にはもちろんK子さんの知識を超えた質問もある。
このような場合は、社内の専門の技術者に回答を依頼するわけだが、このときの伝達手段は電話ではない。
パソコンを使った電子メールだ。
電子メールとは、パソコン同士をケーブル(配線)または回線でつなげ、お互いにメッセージのやりとりを行う手段をいう。
K子さんの会社では、社内のすべてのパソコンをケーブルでつなげた大規模なLAN(ラン)と呼ばれるネットワークが構築されているのだ。
ピンとこない人は、社内のすべての電話が回線で結ばれているのと同じようなものと思えばよいだろう。
内線をするのと同じ感覚で、相手のパソコンにメッセージを伝えることができるのである。
K子さんは、「○○のトラブルが発生した際の、その原因と対処法を教えてほしい」という顧客からの質問を、パソコンの画面を通して専門の技術者に送る。
すると、これが技術者のパソコンに瞬時に伝わる。
技術者はその回答を作成して、やはりパソコンを使ってK子さんに送り返すのだ。
すると、その回答が、K子さんのパソコンの画面に表示される。
仮にその技術者が答えられなかったとしても、そのときは別の技術者に回答を依頼すればよい。
どちらにしろ、質問した数時間後には回答が届くので、K子さんはその日のうちに顧客に返答することができることになる。
しかし、実はこれだけでは、パソコンは単なる内線電話の代わりにすぎない。
重要なのは、これらの情報の蓄積にある。
K子さんと技術者との間で交わされた内容は、単にパソコンの画面に映し出されるだけでなく、苦情や要望といった顧客からの生の声として、自動的にパソコンのデータベースに蓄えられていくのだ。
これにより、今回回答できなかった質問の内容も、次回からはパソコンで引き出すことができるようになる。
具体的には、○○の件に関連したすべてのトラブルの要約がパソコンの画面に一覧で表示されるので、この中から該当するものを選択すればよいだけだ。
また、要約の一覧は、○○に関連した件とか、××に関連した件といった具合に、製品ごとに細かく分類・整理されているので、顧客からの質問事項も十数秒で引き出すことができる。
さらに特筆すべき点は、社員全員がこの内容を自由に見ることができるという点だ。
たとえば、K子さん以外の別の相談窓口の人に、今回と同じ質問をしてみたとしよう。
一般的な感覚からすれば、この回答はK子さんか技術者しか知らないので、この人もまた、やはり技術者に回答を依頼することになるはずだ。
技術者にしてみれば、同じ内容の回答をまた別の人に教えてやらなければならない羽目になる。
逆に、相談窓口の担当者にしてみれば、顧客から質問を受けた時点で、すぐには返答できないことになる。
なんと効率の悪いシステムであろうか。
だが、この会社の場合は違う。
相談窓口の担当者は、顧客からの問い合わせの回答がデータでベースに蓄積されているかどうかを、常にパソコンの画面で確認しながら、顧客と受け答えするシステムになっているのだ。
つまり、この件に関しての回答がすでにパソコンのデータベースの中に蓄積されていれば、たとえK子さんでなくても、すばやく回答を見つけだして、迅速に答えることができるのである(注:もしなければ、はじめての質問ということになるので、この場合は技術者に回答を依頼する)。
すべての情報を会社全体の財産として共有し、利用する。
「情報の共有」は、上手に利用すれば極めて強力な武器となるのだ。
たとえば、K子さんが受けた顧客からの苦情や要望を、相談窓口の人だけでなく企画やマーケティング部門の人も自由に見ることができるようになれば、この人たちは、いまの製品の問題点や改善点を分析することが可能となるだろう。
しかも、これらの情報は数力月遅れて初めて手にすることのできる情報ではない。
今日の、現時点までの最新の情報だ。
つまり、分析した結果も、顧客からの最新の声を反映したものであるのだ。
これに基づいて次の新製品を考えれば、どこの会社よりも早く、顧客の満足する製品を作ることができるようになる。
実はネットワークで重要なのは、こうした「情報の共有」にあるのだ。
たとえ、たくさんの情報をデータベースに蓄積したとしても、それを必要とする人が見ることができなければ、単なる宝の持ち腐れになってしまう。
単に仕事の効率を上げるためだけにネットワークを構築するのではなく、それより一歩踏み込んだ使い方を企業は求めているのである。
LAN(Local Area Network)…ラン企業内や一部の敷地内だけに限定したネットワーク。
LANを構築するには、クライアントとサーバーの両方が必要になる。
サーバーとはネットワークを集中管理するためのコンピュータの総称で、ここにデータベースを備える。
逆に、クライアントとは、社員一人一人が実際に操作するコンピュータの総称である。
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